育休取得前にやったこと全部――「言えない5ヶ月」から根回し・引き継ぎまでの実体験
妻の妊娠がわかった瞬間、頭に浮かんだのは「上司に報告しなきゃ」でした。
妻の体調が急変するかもしれない。有給も必要になる。育休のことも早めに話しておきたい。仕事人間としての反射で、職場への報告を急ごうとしました。
でも、妻に止められました。「安定期に入るまで、誰にも言わないで。両親にも」と。
それから約5ヶ月間、秘密を抱えたまま職場で働くことになりました。
「言えない5ヶ月」の居心地の悪さ
知っている側として言えない、というのはなかなか心が揺さぶられます。
一番ヒヤッとしたのは、職場の同僚からデリカシーのない一言をもらったときでした。「そろそろ子供できる時期なんじゃないの?」。思わず答えそうになりました。危なかった。
もうひとつ居心地が悪かったのは、研究の場面です。妊娠がわかった頃から、長期の研究プロジェクトにはやんわりと断りを入れるようにしていました。「ちょっと今は難しいかもしれないです」と。本当は「妻が妊娠していて育休を取る予定なので」と言えれば立派な理由になる。でも言えない。なんとなくやりたくなさそうに見えるポジションになってしまい、それが地味に居心地悪かったです。
妻がそう言う理由はわかっていました。妊娠初期は流産のリスクがある。誰かに伝えた後で流産になったとき、取り返しがつかない場面もある。だから安定期まで待つ。正しい判断だと頭ではわかっていても、言いたい気持ちを抑えるのは簡単ではありませんでした。
安定期に入ってから、主任に話す前に「根回し」をした
妊娠5ヶ月(安定期)に入り、ようやく職場への相談を始めました。育休開始まで残り約5ヶ月。この間に引き継ぎを済ませる必要がありました。
最初に相談したのは直属の上司である主任でしたが、話す前にある「根回し」をしました。
主任は仕事人間でした。育児より仕事が中心のタイプ。男性育休に対して、良い顔をしないだろうというのは、なんとなくわかっていました。
その主任の奥さんが、同じ職場で働いていました。日頃から話す機会があり、育児をしながら働くことの大変さ、産後の身体的な負担の大きさを聞いていました。そこで、育休を取得したい旨を先に奥さんに伝えました。
直接私のことを主任に言わなくていい。ただ、職場で育休を取る男性が増えるという話を、何かのタイミングでしてもらえないかと頼みました。
いいか悪いかはわかりません。でも、これがいわゆる「根回し」というものです。結果として、主任への相談はすんなり通りました。「シンプルにいいんじゃない」という反応でした。
相談の順番と、それぞれの反応
職場への相談は、直属の上司から上へという順番で進めました。
①主任:根回し済みでスムーズ
事前の根回しが効いて、比較的スムーズでした。とはいえ、手放しで歓迎という雰囲気でもなかった。「育休取って何するの?」と言わんばかりの表情は、正直ありました。でも、言葉には出なかった。それで十分でした。
②課長補佐:手続きの面倒くささが顔に出ていた
課長補佐への相談は、仕事上あまり関わりがなかったこともあり、シンプルに育休取得の意向を伝えました。反応は曖昧でした。総務課とのやり取りや、責任者への説明をどうするか頭の中でシミュレーションしていたんだと思います。手続きの面倒くささが顔に出ていた、というのが正直な印象です。
③部長(医師):和やかに、冗談交じりで
一番緊張したのが部長への報告でした。課長補佐が事前に話を通してくれていたため、スムーズなやり取りになりました。「俺の時代は考えられなかったな」「本当にできるのか?」。深刻な空気ではなく、和やかな雰囲気で言ってくれたのが救いでした。
引き継ぎは「3ヶ月前」から動いた
相談と並行して、仕事の引き継ぎを進めました。特に注意したのは委員会活動です。月に1度しか開催されない委員会もあり、3ヶ月前から動いて正解でした。
担当患者の情報は口頭だけでなく紙面でも作成して上司に説明しました。育休を取る以上、落ち度があってはならない。そのプレッシャーが、準備を丁寧にさせてくれました。「あれ、聞いてない」「これ、誰が担当?」という状況を残さないことが、職場への最大の配慮だと思っていました。
育休開始までの職場の空気
相談してから育休開始までの間、女性陣は一貫して背中を押してくれました。先輩たちからは「本当にやれるのか」といじられましたが、何も言われないよりずっといい。温かさの裏返しだと思っていました。
育休を取ることを決めた経緯についてはこちらの記事に詳しく書いています。
育休前に一番大事だったこと
振り返ると、育休前の準備で大事だったのは3つです。
- 安定期まで待つ――妻との約束を守ること。言いたい気持ちを抑えることも、パートナーへの配慮のひとつ
- 相談は順番通りに――直属の上司から上へ。順番を守ることで話がスムーズに進む
- 引き継ぎは3ヶ月前から――直前に慌てない。落ち度を残さないことが、職場への最大の誠意
育休を取ろうか迷っている方、切り出し方がわからない方に、この記事が少し参考になれば嬉しいです。
育休中のお金の落とし穴(給付金が4ヶ月来なかった話)はこちらの記事。育休期間の決め方はこちらに書いています。
育休中にキャリアについて考えたことはこちらの記事に書いています。
転職を考え始めたとき、まず外の情報を集めることが大切です。転職サービスを3つ使って気づいたことにまとめています。
