PT×キャリア

大学病院PTの管理職に向いている人・向いていない人――17年目が正直に書く

yutorizeropapa
この記事でわかること
  • 大学病院PTの管理職に向いている人・向いていない人の特徴
  • 「出世しなくていい」は本当に正解か(17年目の本音)
  • 主任になって見えてきた景色と、それまでの自分との違い

「主任になりたいけど、自分に向いているのかな」「なれるかどうかより、向いているかどうかが気になる」——そういう声を、後輩からよく聞きます。

大学病院に17年勤め、13年目に主任になりました。管理職として後輩を見てきた経験から、「この人は向いているな」「向いていないな」と感じるパターンは確かにあります。

ただし最初に言っておきます。向いていない特徴があっても、管理職になれないわけではありません。自分の課題に気づいて変えられる人は、向いていない側から向いている側に移れます。この記事は「向いていないから諦めろ」という話ではなく、自分を客観的に見るための材料として読んでほしいと思っています。

大学病院の管理職とは何か――昇進の現実を知っておく

向いているかどうかの前に、大学病院の管理職の現実を知っておく必要があります。

まず、昇進には試験があります。「年数が経てば自動的になれる」という職場は少数派です。職務規定・労務制度の確認問題、時事問題、小論文など、準備なしに通れるものではありません。年々難易度は上がっています。

さらに厄介なのが、年功序列の壁です。私自身、10年目で「主任を受けさせてください」と上司に申し出ましたが、「あの人が先に受かってから」という暗黙のルールがあり、2年待たされました。実力や意欲とは無関係に、順番待ちが発生する文化が根強く残っています。

もう一つ。大きな病院では、上のポジションが空いたとき、外部から人材を呼び寄せるケースがあります。医師の世界では当たり前のことで、リハビリ部門でも起きています。私の同僚の職場では、外部から課長補佐として入職した人がいきなりトップになった事例がありました。内部でいくら積み上げても、外から埋められるリスクがあるのが大学病院という環境です。

つまり、向いているだけでは管理職になれないこともあるし、向いていなくてもなれることもある。ただ、向いていない人が管理職になると、本人も周囲も消耗します。それを防ぐためにも、自分を見極めることは大切です。

管理職に向いていない人――17年で見てきたパターン

実際に見てきた「向いていないな」と感じた特徴を正直に書きます。特定の誰かの話ではなく、複数の人から見えてきたパターンです。

決断できない人。管理職の仕事の大半は意思決定です。「どちらでもいい」「もう少し様子を見よう」が口癖になっている人は、判断を求められる立場になると周囲が止まります。迷うこと自体は悪くない。でも最終的に決められない人は、下につく側が疲弊します。

責任を取りたくない人。管理職になるということは、自分の部下がやったことの責任を負うということです。「あの人がやったことだから」と線を引く人は、結果的に誰からも信頼されなくなります。

言っていることがすぐ変わる人。昨日言ったことと今日言うことが違う。指示が二転三転する。現場は混乱します。ブレない軸を持っていることは、管理職の基本条件です。

話を最後まで聞かない人・決めつけて話す人。部下が相談に来たとき、途中で遮る、最初から答えを決めて聞く——これをやると、誰も相談に来なくなります。管理職は情報が集まる立場であるべきです。話を聞かない人のところには情報が来ない。

すぐ怒る人・表情に出やすい人。感情のコントロールができない人の下では、部下は常に顔色をうかがいながら働くことになります。本人は気づいていないことが多いですが、周囲への影響は大きい。

コミュニケーション力がない人・声が小さく元気がない人。管理職は内外の連携が仕事の中心です。他職種、他部署、上層部——様々な相手と話す機会が増えます。最初から完璧である必要はありませんが、コミュニケーションを取ろうとする姿勢がない人は厳しい。

一つ言えるのは、向いていない人の多くは、自分が向いていないと気づいていないということです。特に「人望がない人」はその典型で、私の職場にも臨床・研究ともに文句なしの実力者がいましたが、後輩から距離を置かれていた。本人は気づいていませんでしたが、周囲には伝わっていました。

岩さん
岩さん

管理職に向いていない人の特徴を書きながら、「自分もそうだった」と気づきました。向いているかどうかより、やってみないとわからないことの方が多いです。

管理職に向いている人――実力より「こういう人」が評価される

管理職に向いている人の特徴(実力より「こういう人」が評価される)
  • 「結果を出す」より「場を整える」ことに価値を感じられる
  • 指示を出すより、相手の話を先に聞ける
  • 自分の評価より、チームの評価を優先できる

向いている特徴は、向いていない特徴の裏返しが基本です。ただ、一つ付け加えたいことがあります。

自分の欲ではなく、組織全体の未来を見られる人。これが向いている人の最大の特徴だと思っています。「自分が評価されたい」「自分の部署だけよければいい」という動機で動く人は、短期的には昇進できても、長く続きません。後輩のために、部署のために、病院のために動ける人——そういう人が最終的に信頼されます。

飛び抜けた実績がなくても、「この人に上司になってほしい」と自然に思われる人が昇進していきます。上司もそこを見ています。臨床力や研究実績はある程度必要ですが、それよりも人として信頼されているかどうかの方が、評価に大きく影響します。

もう一つ実感しているのが、「周りを見ている人」は管理職になる前からそれをやっているということです。管理職になってから急に変わろうとしても難しい。日常の臨床の中で、後輩の残業に気づいて声をかける、困っている人を見つけて話しかける——そういう行動が自然にできている人は、管理職に向いています。

「出世しなくていい」は本当に正解か

責任を取りたくない、今の仕事をきちんとやって給与をもらえればいい——そういう考え方を否定するつもりはありません。それも一つの選択です。

ただ、一つ残酷な現実をお伝えしておきます。後輩が先に出世すると、じわじわと居づらくなります。かつての後輩が自分の上司になる。指示を受ける立場になる。それが続くと、職場での立ち位置は徐々に狭くなっていきます。意識していなくても、周囲の目が変わる。これはPTに限らず、どの職場でも起きることです。

「出世しない」という選択は、その場所に居続けるリスクを取る選択でもあります。管理職を目指さないなら、それ以外の軸——専門性、対外活動、副業——で自分の価値を示し続けることが必要になります。

管理職になると何が変わるか――主任になって見えた景色

向いているかもしれないと思った人に、実際に変わることを伝えておきます。

一番変わるのは「動ける範囲」です。平社員のとき、いつも残業しているのに上司に相談できずにいる後輩がいました。主任になって残業管理の権限を持ったことで、その後輩に自分から声をかけられるようになりました。仕事量の調整、働き方の相談——立場があるから踏み込める話があります。

他職種との関係も変わります。看護部の主任と対等なステージで話せるようになってから、他職種との連携が明らかにスムーズになりました。肩書きは、対等に話すための入り口になります。

仕事の性質そのものが変わります。臨床から管理・運営へ。見える景色が変わり、やるべきことが変わる。PTが飽和する時代に、管理職という軸を持っておくことは差別化にもなります。臨床一本ではなく、別の価値を持てることが、長く働く上での強みになります。

まとめ

まとめ
  • 管理職に向いているかは、やってみないとわからない部分が大きい
  • 「出世しなくていい」は正解になり得るが、選択肢は持っておく価値がある
  • 主任になって見えた景色は、なってみなければわからなかった

大学病院PTの管理職に向いている人・向いていない人を整理します。

向いていない人の特徴:決断できない、責任を取りたくない、言うことがすぐ変わる、話を最後まで聞かない、すぐ怒る、コミュニケーションを取ろうとしない。そして多くの場合、自分がそうだと気づいていない。

向いている人の特徴:上記の逆、そして何より「自分の欲より組織の未来を見られる人」。管理職になる前から、周りを気にかける行動が自然にできている人。

昇進に必要なのは飛び抜けた臨床力や研究実績ではなく、人として信頼されているかどうかです。向いていない特徴に心当たりがある人も、気づいて変えられるなら間に合います。自分を客観的に見ることが、管理職への第一歩だと思っています。

ABOUT ME
岩さん
岩さん
大学病院17年・2児パパの現役PT
大学病院で17年働く現役PT。修士・認定PT取得、育休2回取得の2児パパ。 転職はしていないけど、「このままでいいのか」とずっと考えている。転職サービスで外の市場を調べ、自分の立ち位置を把握した上で今の職場にいる。キャリア・転職・育児・お金について、答えじゃなくてリアルを書いています。
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