職場の勉強会が消えていった理由――中堅PTが感じる、もらったものを返せていないモヤモヤ
- 職場の勉強会が減った・なくなった背景にある構造的な理由
- 「理解できるけど引っかかる」中堅PTのリアルな感覚
- 若手に直接聞いてみてわかったこと
「勉強会って、今はほとんどやらないんですか?」
5〜6年ぶりに戻ってきた職場で、後輩に聞いたらそういう返事が来ました。やらないんじゃなくて、やれなくなった。そう気づいたのは、周囲を少し見渡してからでした。
異動から戻ったら、勉強会の風景が変わっていた
私が異動する前は、各チームが定期的に若手向けの勉強会を開いていました。頻度も形式もチームによって違いましたが、若手が学ぶ場として機能していました。毎週ではなくても、少なくとも月に数回はどこかでやっていた。
戻ってきたらそれが「時間があれば」という扱いになっていました。優先度が下がった、という言い方の方が正確かもしれません。
全体勉強会も消えていました。以前は週に1度、全スタッフが集まって開いていたものです。廃止の理由は聞くと、「各々の専門分野が違うので勉強にならない人がいる」「特定のスタッフだけ出席できて不公平」「業務時間を圧迫して残業になる」という声が上がったからだということでした。

全体勉強会がなくなったとき、正直ショックでした。内容が合わないスタッフがいるのは事実でも、あの場での他職種とのやりとりは、臨床の中では生まれにくいものがあったと思っています。
なくなった理由は、理解できる
勉強会が減った背景には、構造的な変化があります。
- 患者数の増加で業務が忙しくなり、時間的余裕がなくなった
- スタッフの年齢層が上がり、教育にかける必要性が薄れた
- コスト意識の高まりで時間外の勉強会が「サービス残業」として問題視されるようになった
私が入職した頃、職場の半数以上は20代でした。今は30代・40代が半分近くを占めています。やめるスタッフが減り、ベテランが増えた。教育にかける必要性が薄れた、という認識になっているのかもしれません。
以前のように、患者さんのためにという理由で自己犠牲を当たり前とするのは、筋が通らなくなってきた。それは正しいと思っています。だから、勉強会が消えた理由は理解できます。おかしいとは言えません。
でも、引っかかる
「職場で学ばなくても、外に学びに行けばいい」という意見があります。自分でセミナーに行けば、本を読めばいい、と。
それもそうだと思います。ただ、正直に言うと、職場内で学ぶ機会がない人が、外に学びに行くでしょうか。
経験上、勉強する習慣は職場の中で育まれることが多い。先輩が教えてくれる、周りが勉強している、という環境の中で「自分も学ばないと」という感覚が育っていく。その入口が職場にないとすれば、外への一歩も出にくい。少なくとも私はそう感じてきました。

職場で学ぶ機会がない人が、外に学びに行くかどうか。これは実体験として、なかなか難しいと感じています。習慣の入口が閉じているんだと思います。
「もらったのに、返していない」というモヤモヤ
引っかかりの正体は、もう少し個人的なところにあります。
私は入職してから多くの時間を先輩にもらいました。業務後に相談に乗ってもらう、症例を一緒に考えてもらう。時間外にもかかわらず、嫌な顔一つせずに付き合ってくれた先輩が何人もいました。
その先輩たちから受け取ったものが、今の自分を作っている部分は確実にあります。
でも、自分が先輩になった今、同じことができているかというと、正直できていません。業務が終われば帰る。後輩からの相談も業務時間内でと伝える。それ自体は間違っていないのですが、先輩にもらったものを後輩には渡せていない、という感覚がずっとあります。
もらうものだけもらって、渡さずに終わっていいのか。そのモヤモヤが消えませんでした。
若手に直接聞いてみた
だったら実際に聞いてみようと思いました。
1年目から4年目の若手数名に、こう聞きました。「時間外でも勉強会をやるとしたら、参加したいと思う?」
返ってきた答えは「内容によるけど、学ぶ機会があるのはすごく嬉しい」でした。
押しつけがましくなるかと思っていたので、少し意外でした。早く帰りたいから勉強会はいらない、とは誰も言いませんでした。機会がないから学べていない、という状態だったのかもしれません。

直接聞いてみてよかったです。「どうせ若手は勉強したくないだろう」という思い込みで動かずにいたら、何も変わらなかった。
まとめ
- 勉強会が減った理由は理解できる。コスト意識・働き方改革は正しい方向
- 一方で若手が学ぶ機会が静かに減っていることは事実
- 先輩からもらったものを渡せていない、というモヤモヤが残る
- 若手に直接聞いたら「学ぶ機会があるのは嬉しい」という返答だった
「仕方ない」で終わらせることもできます。でも、それで本当にいいのかというモヤモヤが残る中堅PTは、私だけではないと思っています。このモヤモヤをきっかけに、自分が動いてみた話は次の記事に書きます。
