理学療法士が大学院に行く意味はあるか——修士を取った17年目の正直な答え
この記事でわかること
- 「自分なんかが行っていいのか」という入学前の不安
- 実際についていけなかった話と、やめなかった理由
- 2年間で身についた3つのこと(文献・文章・臨床への落とし込み)
- 200万円・給与ゼロ上昇でも行ってよかったと言える理由
- こんな人に勧める・勧めない
「大学院に行く意味はあるか」と聞かれたら、私は意味があったと答えます。
ただし、条件があります。給与を今すぐ上げたい人には、おそらく向きません。
私が2年間で得たのは、文献の読み方、文章の書き方、研究を臨床に落とし込む力でした。それが今のキャリアに繋がっていると感じているのは、10年以上経った今だからこそ言えることです。
この記事では、私が大学院に行くと決めた経緯と、実際の2年間、そして17年目の今振り返って感じることを正直に書きます。
先に結論
- 大学院は「意味ある」——ただし給与即効性はゼロです
- 得られるのは文献・文章・研究を臨床に落とし込む力です
- 将来的なビジョンがある人には勧めます。給与を今すぐ上げたい人には向きません
「自分なんかが行っていいのか」——入学前の本当の不安
大学院に行くか迷ったとき、私の中に一番大きかった不安は「ついていけるか」でした。
先輩から「大学院は意味がない」「給与は上がらない」と言われたこともありましたが、それより強かったのは自分自身への疑いでした。大学院は頭のいい人が行くところだというイメージがあって、自分なんかが行っていいのかと思っていました。
それでも行こうと決めたのは、実際に大学院を経験した先輩が背中を押してくれたからです。否定的なことを言っていたのは、行ったことのない人ばかりでした。
岩さん
「大学院は意味がない」と言っていた先輩は、行ったことがない人でした。経験した人の言葉と、していない人の言葉は、重さが違うと今は思います。
実際についていけなかった。それでも2年間続けられた理由
入学してすぐ、不安は現実になりました。教授の話していることはよくわからない。先輩たちの発表のレベルが高すぎる。自分の思考の浅さを毎週のように突きつけられました。
やめたいとまでは思いませんでしたが、しんどかったのは事実です。
それでも続けられたのは、一緒に通う同僚がいたからです。同じ職場から同時期に入学した仲間と、苦しみながら励まし合いながらやれました。大学院は孤独な戦いではなく、一緒に乗り越えられる人がいるかどうかが大きいと感じています。
2年間で身についた3つのこと
文献の読み方
以前は文献を読んでも「なんとなく正しそう」で終わっていました。大学院では研究デザインや統計の見方を学び、この研究は信頼できるのか、どこに限界があるのかを自分で判断できるようになりました。
文章の書き方
大学院に入る前、私は「文章は書けている」と思っていました。でも論文を書く中で、自分の主張を根拠を持って組み立てる訓練を繰り返し、初めて「書く」ということの難しさを知りました。今後輩の発表資料を見るとき、以前より具体的なフィードバックができるようになったのはこの経験があるからです。
研究を臨床に落とし込む力
毎日当たり前のようにやっていた臨床が、研究という視点を持つことで違って見えました。「なぜこの患者さんは回復が遅いのか」を、以前より丁寧に考えるようになりました。
200万円・給与ゼロ上昇——それでも行ってよかった理由
2年間で約200万円。給与は1円も上がりませんでした。
それでも行ってよかったと言える理由は、その期間で培ったものが、今のキャリアにも、これからのキャリアにも繋がっているからです。
即効性のある投資ではありません。ただ、10年以上経った今振り返ると、あの2年間がなければ今の自分の仕事の仕方はなかったと思います。
岩さん
大学院の価値は、卒業直後にはわかりにくいです。10年後に「あの経験があったから」と思えるかどうかが、本当の答えだと感じています。
こんな人に勧める・勧めない
こんな人に勧めます
- 臨床疑問を持ち続けている人
- 将来的なビジョン(管理職・教育・研究)を持っている人
- 多少しんどくても一緒に乗り越えられる仲間がいる人
こんな人には勧めません
- 給与を今すぐ上げたい人
- 「なんとなくキャリアアップしたい」という動機だけの人
- まとまった自由時間が前提の人(2年間は時間を作り出す必要があります)
まとめ
- 大学院は「意味ある」——ただし給与即効性はゼロです
- 「ついていけるか」という不安は的中しました。それでも続けられたのは仲間がいたからです
- 文献・文章・臨床への落とし込み力は、10年後のキャリアに繋がっています
- 将来ビジョンのある人に勧めます。給与即効性を求める人には向きません
認定理学療法士を取るべきかについては認定理学療法士は必要か——取得7年目が出す結論と、取る前に知っておくべきことにも書いています。
