急性期PTの単位数のリアル——予約18単位でも16にしかならない理由を17年目が正直に書く
- 急性期PTの単位数の実態(1年目〜ベテランまでの変遷)
- 予約単位と実際の取得単位がズレる急性期ならではの理由
- ノルマ制導入で職場が変わった光と影のリアル
- 就職・転職前に必ず確認しておくべき単位数まわりのこと
急性期PTへの就職や転職を考えているとき、「実際どのくらい単位を取るの?」「残業ってどれくらいある?」という疑問を持つ人は多いと思います。でも、ネットで調べても出てくるのは採用サイトの綺麗な文章ばかりで、泥臭いリアルにはなかなか辿り着けません。
私は急性期病院で17年目を迎えるPTです。途中で異動も経験し、ノルマ制の導入前後も肌で知っています。この記事では、単位数と残業のリアルを包み隠さず書いていきます。転職や就職の判断材料として使ってもらえたら嬉しいです。
急性期PTの単位数、1年目と今では全然違う
1年目のころ、1日の単位数の目安は12〜14単位でした。「これくらいを目指して」と明確に言われたわけではなく、患者さんを振り分けていった結果として自然とその数字に落ち着く、という感覚です。上からプレッシャーをかけられた記憶はほとんどありません。
2年目以降は14〜16単位が普通になってきます。担当患者が増え、1日の流れに慣れてくると単位も自然と上がっていきます。ここまでは「単位を取る」というより「患者を診た結果として単位がついてくる」という感覚でした。
転機は異動でした。異動先の病院では「18単位がノルマ」として明確に課せられていました。これは発想の転換が必要で、最初はかなり戸惑いました。元の病院では患者を診た結果が単位だったのに、異動先では「18単位を取るために逆算して患者を組む」という思考が求められました。同じ急性期でも、文化がこれほど違うのかと驚きました。
現在の私は、予約として18〜19単位を入れます。しかし実際に取得できるのは16単位前後に落ち着くことが多いです。なぜこんなにズレるのか。急性期ならではの理由があります。
予約18単位でも、実際は16前後になる理由
急性期病棟の患者さんは、全身状態が安定していません。これが根本にあります。朝、予約通りに動こうとしても、「今日は体調が悪いのでお休みします」という連絡が入ることは珍しくありません。1〜2単位が消えることは日常茶飯事です。
もうひとつ大きいのが、検査やケアとリハビリの時間の重複です。看護師さんたちもリハビリのスケジュールを把握しようとしてくれているが、処置が押したり検査のタイミングがずれたりして、予定していた2単位が1単位になることがあります。これは病棟の構造的な問題で、誰かが悪いわけではありません。急性期はそういう場所です。
さらに、経験年数が上がるにつれて臨床以外の仕事が増えてきます。カンファレンス、RST(呼吸サポートチーム)、NST(栄養サポートチーム)といった多職種チームへの参加が当たり前になります。これは患者さんのためになる大切な仕事ですが、臨床に使える時間は削られます。
加えて、算定の細かいルールもあります。1単位は20分で算定するが、少し時間がずれると算定できません。病棟間の移動時間も馬鹿になりません。こうした積み重ねで、予約より実際の単位は下がっていきます。
ノルマ制の光と影——制度が変わるとここまで変わる
ノルマ制が導入されて、職場の雰囲気は変わりました。良い方向にも、悪い方向にも。
まず光の面から。以前は疾患チームごとに忙しさのばらつきがあり、「あのチームは暇そうだ」という空気が職場に漂っていました。見えないギスギスがありました。ノルマ制になると、それぞれが単位数という同じ目標を持つことになります。患者を「欲しい」という声が自然と出るようになり、チーム間の不公平感は薄れました。
しかし影もあります。ノルマを課せられると、人は「楽に数字を達成する方法」を探し始めます。具体的には、重症で介入が大変な患者より、軽めの患者を長く担当することでコストを稼ごうとするスタッフが出てきます。「必要な患者に、必要な量だけリハビリを提供する」という原則が、ノルマという数字の前で歪んでいくことがあります。制度が人の行動を変えてしまう、その怖さをここで実感しました。

ノルマ制は「公平さ」と引き換えに「何のためのリハビリか」という問いを曖昧にするリスクがあります。数字を追いかけるうちに、患者さんが手段になってしまう感覚——これは今でも自分への戒めとして持ち続けています。
残業と単位数の関係——昔と今
残業のルールも、昔と今では大きく変わりました。
昔は「18単位取れていないのに残業するのはおかしい」という暗黙の了解がありました。単位が取れていない=仕事が終わっていない、という論理です。結果、書類仕事やカンファレンスの準備などは当然のようにサービス残業になっていました。「残業代を請求するなんて」という雰囲気すら漂っていた時代でした。
最近はだいぶ変わりました。18単位に届かなくても、残業は残業として割り切って申請する流れになってきました。働き方改革の影響もあるでしょうし、職場の意識も少しずつ変わってきました。
ただし、これは職場によって大きく差があります。SNSで見かけるアンケート結果を見ると、「ノルマが取れていない日は残業を申請できない雰囲気がある」という声は今もそれなりにあります。転職先や就職先の実態を確認せずに入職すると、昔ながらの文化が残っている職場に当たることもあります。
残業の「申請できない空気」がどう生まれるのかは、「大学病院PTの残業リアル」という記事で17年分の実態を詳しく書きました。あわせて読んでみてください。
就職・転職前に確認しておくべきこと
17年間の経験から、急性期への就職・転職を考えているPTに伝えておきたいことがあります。
まず、コストのノルマがあるかどうかを確認することです。あるとすれば何単位なのかも合わせて聞いてみてください。ノルマが高い職場では、教育や自己研鑽、研究に充てる時間が削られやすくなります。1年目や2年目のうちに「育ちたい」という気持ちがあるなら、ノルマの高さは直接キャリア形成に影響します。
次に、急性期と回復期の違いをしっかり理解しておくことです。回復期は患者さんの全身状態が比較的安定しているため、単位は取りやすいです。急性期のように「予約が入っていても取れない」という状況は少ないです。同じリハビリ職でも、働く環境はまったく違います。「単位が取れない=自分が悪い」と思い込んでしまう前に、それが急性期という環境の特性だと理解しておいてほしいと思います。
そして、臨床の質を守るためにはある程度の余裕が必要です。パツパツのノルマの中では、患者さんをじっくり観察する時間も、同僚と相談する時間も取れません。自分が働き続けられる環境かどうかを、単位数という切り口から見てみることをおすすめします。

見学や面接のとき「ノルマはありますか?」と聞くのは失礼ではありません。むしろそれを聞ける雰囲気があるかどうかが、職場の文化を測るバロメーターにもなります。聞きにくいなら、「1日に何単位くらいが目安ですか?」という聞き方でも大丈夫です。
- 急性期PTの単位数は1年目12〜14単位、2年目以降14〜16単位が目安。ノルマ制の職場では18単位を求められることも
- 予約より実際の取得単位が少なくなるのは、急変・検査重複・多職種業務の増加・算定ルールなど急性期ならではの構造的な理由があります
- ノルマ制はチーム間の不公平感を減らす一方で、「楽な患者で数字を稼ぐ」という歪みを生むリスクもあります
- 残業と単位数の関係は昔より改善されてきたが、職場によって文化はまだ大きく異なります
- 就職・転職前には「ノルマの有無と単位数」を確認し、自分が育ち続けられる余裕がある環境かどうかを見極めてください
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