急性期PTの365日化は避けられない――診療報酬改定が変える働き方と、今すぐキャリアを考えるべき理由
- 急性期PTの365日化が進む職場の実態(管理職・現場の本音)
- 365日化で生じる「中間層消滅」リスクとは何か
- 今すぐキャリアの選択肢を持っておくべき理由
今回の診療報酬改定で、土曜・日曜・祝日に早期リハ介入を行うと加算がつくようになりました。
私が急性期の大学病院で働き始めた頃、休みはカレンダー通りで、土曜は月1回半日出れば十分でした。それが少しずつ変わり、土曜が1日になり、祝日もリハをやるようになった。今回の改定は、その流れをさらに加速させるものだと感じています。
「いずれ急性期でも365日リハが当たり前になる」――これは私の個人的な予測ですが、10年以内にはその方向に向かうと思っています。そしてそのとき、今の職場に何も考えずにいると、気づいたときには手遅れになっているかもしれません。
改定直後の職場の反応――管理職は頭を抱え、若手は歓迎
改定の話が出たとき、職場全体のトーンは「がっかり」でした。管理職は頭を悩ませていました。日曜・祝日も出勤できる体制をどう組むか。若手だけを出勤させると何かあったときの責任はどうなるか。日祝を手厚くすれば平日が手薄になる。どれも簡単には解決しない問題です。
一方で、若手は意外と歓迎ムードです。平日に休みが取れるなら、という発想です。ただ、管理職の本音は「自由にやらせると制御できなくなる。でも責任は自分たちが取らないといけない」という構造への不安です。
管理職と現場のこの温度差は、今後の職場運営に大きな亀裂を生む可能性があります。
改定直後、管理職は「どうシフトを組むか」で頭を抱えていました。一方で若手は「休日手当が増える」と歓迎していた。同じ変化を、こんなにも違う目で見ていたんです。
365日化で中間層が消える――職場の二層構造化リスク
私が入職した頃、職場はほとんどが20代で、トップが30代半ばという構成でした。しかし今は違います。上に10人以上が詰まっていて、私が当時のトップと同じ年齢になっても、まだその上がいる。部全体の総数は変わっていないのに、上が増えている。
その結果、20代後半から30代前半が少しずつ減ってきています。上が詰まっていてやりたいことができない、という理由で転職する人が一定数います。やめないと若手が入ってこない、という負のサイクルも起きています。
ここに365日化が重なると何が起きるか。私はこう予測しています。
「ギリギリ逃げ切った大ベテラン」と「土日祝日でも気にしない若手」の二層構造です。その間にいる30〜40代の中間層、とくに子育て世代は、日祝出勤と家庭の両立が難しくなり、職場を離れていく。今でも起きている中間層の流出が、さらに加速する未来が見えます。
子育て世代の女性PTが直面する現実
私が入職した頃は、出産を機に退職・転職するのが当たり前の時代でした。その後、保育園などのインフラが整い、時短勤務で働き続ける同期も出てきました。
ただ、現実は厳しいままです。ある同期は、自宅から職場が遠く、保育園の送り迎えに間に合わないため、3歳以降も時短延長を上司に相談しました。上司の答えは「決まりは決まり。どうしてもならやめるしかない」でした。人事にまで直接掛け合いましたが、結果は変わらなかった。
こういう話は珍しくありません。そこに365日出勤が加わると、子育て中の女性PTにとってはさらに厳しい環境になります。時短の壁、保育園の送り迎え、日祝出勤。どれか一つでも崩れると、家庭は回らなくなる。
これは女性だけの問題ではありません。家族中心に働きたいと考える男性PTにとっても、同じことが言えます。
「今の職場でいける」か「転職」か――私の判断基準
- 365日化で自分のライフスタイルが維持できるか
- 家族の状況(育児・介護)と働き方が噛み合うか
- 職場の方針に対して「まあいい」と思えるかどうか
私自身、365日化が本格化した場合どうするかは、すでに考えました。家族を中心に仕事がある、というのが自分の価値観です。シフト制になって管理された出勤体制になるなら、転職すると思います。
逆に、「日祝は出たい人だけが出る」という方針を今の職場が示せるなら、もう少し続ける選択肢もあります。ただ、正直なところ望みは薄い。国が加算をつけた以上、病院は取りにいきます。
今は移行期間だと思っています。方針は出た。これから数年で、今の職場がどう動くかを見極めながら、同時に外の選択肢も持ち続ける。それが今の自分のスタンスです。
今すぐキャリアの選択肢を持っておくべき理由
365日化の流れに気づいていない人は、まだ多いと思います。でも、気づいたときには職場の体制はすでに変わっていて、自分に選択肢がない、という状況になりかねない。
私が実際にやってきたことを書いておきます。
大学院に通った。臨床をやりながらで正直きつかった。でも、論文を書くことで「なぜこの治療をするのか」を言語化する力がついた。大学院に行くべきかの本音は別記事に書いています。
認定理学療法士を取った。脊髄障害と臨床教育の2つです。給与は上がりませんでしたが、専門性を示す軸が一本増えた。外の世界を知る機会にもなりました。認定を取って変わったことの詳細はこちら。
転職サービスで外の市場を調べた。転職するかどうかを決めるためではなく、外から見た自分の立ち位置を知るためです。転職サービスに登録した理由も別記事にあります。
選択肢を持っている人と持っていない人では、いざというときの動き方がまったく違います。追い詰められてから動くのでは遅い。飽和時代に自分が出した答えも合わせて読んでみてください。
キャリアの壁を感じてきた経緯は別の記事に書きました。365日化という外部環境の変化と、自分のキャリアを重ねて考えるきっかけになれば、と思います。
就職先を選ぶ若手PTへ
- 365日化は今後も広がる可能性が高い
- 管理職・子育て世代には特に影響が大きい
- 「今の職場でいいか」を一度立ち止まって考えるいい機会になる
急性期を目指している学生・若手PTに、一つだけ伝えておきたいことがあります。
急性期は確かに経験が積める。でも、就職先を選ぶときに「365日化が進んだとき、この職場はどう動くか」という視点を持っておくことは、損にならないと思います。
給与・休日・キャリアパス。これらを外の情報と比較しながら選ぶことが、10年後の自分を守ることになります。大学病院PTが転職を本気で考えた理由も、合わせて読んでみてください。
