住宅ローンがあっても理学療法士は転職できるか――ペアローン・変動金利・子2人のリアルな家計から考えた
- 住宅ローンがあっても転職できるか(ペアローン・変動金利・子2人のケース)
- 「住宅ローン=転職の足かせ」が思い込みである理由
- 転職前にやっておくべきお金の準備と夫婦の話し合い
理学療法士として転職を考えたとき、真っ先に頭をよぎるのが「住宅ローンがある」という現実ではないでしょうか。
私は33歳のときに注文住宅を購入しました。土地と建物合わせて約3,500万円。現在6年が経過し、残債は約2,900万円。変動金利0.8%、35年ローン、妻とのペアローンで組んでいます。
子供は2人。育休を2回取得しました。妻は「上の子が小学校に入ったら仕事をやめようかな」と言っている。ペアローンで組んでいるのに、です。
そんな状況で、転職を本気で考えた時期がありました。転職サービスにも実際に登録し、エージェントと話もしました。
結論から言うと、「住宅ローンがあるから転職できない」とは思っていません。でも「気にせずどんどん行け」とも言えない。今回はそのリアルを正直に書きます。
「住宅ローン=転職の足かせ」は思い込みかもしれない
転職を考えたとき、住宅ローンがあるから躊躇したか、と聞かれると、正直それはありませんでした。
シンプルに考えたのはこうです。住宅を購入していなければ、賃貸で家賃を払い続けている状態のはずです。住宅ローンの返済と家賃、大きな視点で見ると、出ていくお金の構造はそれほど変わらない。
金利がめちゃくちゃ高ければ話は別だったかもしれません。でも今は変動0.8%。この水準なら、住宅ローンが転職の壁になるとは感じませんでした。
ただ、賃貸と違って確実にのしかかってくるのが固定資産税です。これは地味にきます。毎年の出費として意識しておかないと、気づいたら家計を圧迫している。住宅ローンの返済額だけ見て「いける」と判断するのは危ない。
住宅ローンを組んだとき、「これで転職できなくなった」と思いました。でも実際に調べると、ローンがあっても転職できる条件は十分にありました。
ペアローンの落とし穴――妻の収入が前提に組み込まれている
私が最もリアルに感じているリスクは、ペアローンの構造です。
ペアローンは夫婦それぞれが借り入れをする形です。月々の返済は夫婦合わせて約7万円、ボーナス払いあり。この返済額は、妻が働き続けることを前提に設計されています。
ところが妻は「上の子が小学校に入ったら仕事をやめようかな」と言っている。住宅ローン減税もペアローンの場合は夫婦それぞれに適用されるので得なはずでしたが、産休・育休期間中は収入が下がるため、思ったほど活用できていないのが現実です。
妻が仕事をやめた場合、私一人で残債2,900万円を抱えることになる。その状況で転職による一時的な収入ダウンが重なると、家計は相当厳しくなります。
ペアローンで住宅を購入した人は、転職を考えるとき、自分の年収だけでなく「妻がいつまで・どれくらい働くか」を同時に考えないといけません。これは賃貸暮らしとは違う、住宅購入特有のリスクです。
自分なりの「転職できる年収ライン」を持っておく
転職サービスに登録してエージェントと話したとき、私は自分なりのラインを持っていました。
今の年収は500万円前後。同程度の条件であれば転職できる。妻がフルタイムで働ける状況であれば、一時的に収入が下がっても、自分のやりたい方向に踏み出せると考えていました。
ただ現実は逆です。妻がやめるかもしれない状況がある。そうなると「多少下がってもいい」という選択肢は消えます。
エージェントに住宅ローンのことは話しませんでしたが、家族構成は聞かれました。エージェント側は住宅ローンよりも「どんな条件で転職できるか」を把握しようとしています。でも自分の中で住宅ローンと家族の状況を踏まえた「転職できるライン」を持っておかないと、条件交渉の場で判断が鈍ります。
外から見た自分の市場価値を知っておくことは大事です。詳しくは転職サービスに登録してみた話に書きました。「今の年収は外から見てどのくらいの水準か」がわかるだけで、転職するかどうかの判断精度が上がります。
PTの年収構造と、夫婦の話し合いが必要な理由
理学療法士は年収が頭打ちになりやすい職種です。役職がつかない限り、勤続年数が増えても年収が大きく上がる構造になっていません。PTの給与・年収の実態は別記事に詳しく書いています。
これは独身のうちは許容できても、結婚して子供ができ、住宅ローンが加わってくると話が変わってきます。自分一人の収入では家族を支えきれない局面が出てくる。
だからこそ、妻との戦略的な話し合いが必要です。「妻がいつまで働くか」「子供の教育費をどう貯めるか」「NISAやiDeCoをどう活用するか」。これらは転職を考えるかどうかに関わらず、PTとして長く働く上で避けて通れないテーマです。
マネーリテラシーなしに転職に踏み切ると、家族全体を巻き込むことになります。住宅ローンの返済計画、子供の教育資金、万が一のときの備え——これらの見通しが立った上で転職を検討するのと、何も整理せずに「今の職場が嫌だから転職する」では、結果が大きく変わります。
住宅ローンがある状態で転職を考えるなら、事前にやること
- 今の年収と必要生活費を試算して「転職できる年収ライン」を決める
- 変動金利の場合は金利上昇リスクも含めてシミュレーションする
- ペアローンなら妻の収入が変わる可能性も想定して話し合う
私が実際にやったこと、やればよかったと思うことを整理すると、以下になります。
- 住宅ローンの残債・返済額・金利上昇リスクを把握する
- 固定資産税など住宅ローン以外の固定支出を洗い出す
- 子供の教育資金をいつまでにいくら準備するか見通しを立てる
- NISAやiDeCoなど資産形成の仕組みを理解して動かしておく
- 妻がどこまで働くか、現実的な線を夫婦で話し合っておく
- 転職サービスで今の自分の市場価値を把握しておく
特に最後の「市場価値の把握」は早いほど良いと感じています。転職するかどうかを決めるためではなく、「今動いたらどうなるか」の判断材料を持っておくためです。転職したくなってから動き始めると、焦りが判断を狂わせます。転職を本気で考えた経緯も合わせて読んでみてください。
まとめ:住宅ローンは壁ではなく、計画を立てるきっかけ
- 住宅ローンは転職の壁ではなく、計画を立てるきっかけ
- 「転職できる年収ライン」を先に把握しておくと動きやすい
- ペアローンの場合は夫婦で収入変化のシナリオを共有しておく
住宅ローンがあるから転職できない、ということはないと思っています。賃貸の家賃と構造は大きく変わらないし、金利が許容範囲であれば、それ自体が転職の障壁にはならない。
ただ、家族を守ることを第一に考えるなら、資金計画なしに転職に踏み出すのは危ない。住宅ローンの残債、家族の収入見通し、教育資金、老後の備え——これらを整理した上で「転職できるかどうか」を判断するのが順序です。
住宅ローンは、自分の家計を真剣に見直すきっかけにもなります。転職を考えているかどうかに関わらず、PTとして長く働くなら、一度は家族全体のお金の話を真剣にしておく必要があると、17年間の経験から感じています。
