実習指導が嫌でたまらなかったPTが変わったきっかけ——クリニカルクラークシップという転機
- 実習指導(バイザー)がつらくなりやすい理由
- クリニカルクラークシップ(CCS)が何を変えたか
- 実習指導が嫌な人への「発想の転換」
- 指導が楽になる具体的なイメージ
「実習生を持つの、正直しんどい」——そう感じているPTは多いのではないでしょうか。
私もそうでした。4年目で初めて実習生を担当したとき、毎日残業で、指導が楽しいなんて一切思えなかった。「絶対にやりたくない」と思い続けた時期が、数年続きました。
それが今では、積極的に実習指導に関わるようになっています。認定理学療法士(臨床教育)も取得しました。
何が変わったのか。この記事では、そのきっかけについて正直に書きます。
4年目、初めて実習生を担当した
サブバイザーという立場での担当でした。私の病院では午前・午後で学生が違うチームに入る形をとっており、私は午前の担当でした。
週に一度、学生がチームリーダーに「今週の目標とプログラム」を発表するサマリーがありました。その準備をいっしょに進めるのが主な役割でした。
しかし、学生の意見を聞きながら進めていると、何も決まらないまま時間が過ぎていく。自分の業務は後回しになり、残業が当たり前になりました。
チームリーダーへの発表も、学生が主体のはずなのに、気づくと自分の考えを代わりに発表しているような感覚になっていた。「これは誰のための実習なんだろう」と思いながら、身を削っていました。

「学生のために」と思っているのに、気づくと自分の業務が全部後ろ倒し。あのころはとにかくしんどかった。
最初の数年は「やりたくない」の繰り返し
その後も1〜2年は同じような状態が続きました。「これが普通なんだ」と思っていたので、特に疑問も持たずに。
指導スタイルも変わらなかったです。どちらかというと学生のためというより、自分が上司に報告するために動いている感覚でした。実習指導が楽しいと思ったことは一度もなかったし、むしろやりたくないとずっと思っていました。
職場全体にもそういう空気がありました。「今年の実習担当、誰がやる?」という押し付け合いが毎年起きていたのです。
クリニカルクラークシップとの出会い——最初は猛反発した
転機が来たのは、指導を始めて2年目ごろでした。
職場で「クリニカルクラークシップ(CCS)を導入する」という話が出ました。ベテランに伝えると反発が大きいと判断されたのか、比較的若手の指導者が集められて説明を受けました。
私は最初、強く反発しました。あのころが一番とがっていた時期かもしれません。
「実習方法を変えても、指導者の負担が楽になることはない。楽しいなんて絶対に思えない」——そう言いました。
それでも、導入は決まりました。

「どうせ変わらない」と思っていた。あのときの自分に「やってみてから言え」と言いたい。
実際にやってみたら、全然違った
クリニカルクラークシップの基本的な考え方は、「学生を自分の臨床に助手として入らせる」というものです。
以前の実習スタイルは、普段の臨床とは別に、学生のためのレポートを作り、伝え方を考え、時間をかけてレクチャーするものでした。自分の働き方を変えることで学生を指導していたため、負担が大きかったのだと思います。
CCSでは、それが変わりました。普段の自分の臨床に学生が入ってくるので、特別なことをしなくていい。むしろ、うまく使えれば臨床の質が上がるのです。
具体的に実感したのは歩行練習の場面でした。一人で歩行介助をしていたところを二人でやることで、介助の質が上がります。学生が介助できるなら、自分はその歩容を客観的に観察できる。
まだそこまでできない学生なら、後ろから車椅子を押してもらうだけでも、理学療法士の負担は減ります。
「学生のために自分が動く」から「自分の臨床に学生が入る」へ——この発想の転換が、すべてを変えました。
実習指導が嫌な人へ——「学生をどう使えるか」という発想
実習指導がつらいと感じている人に、今の自分が伝えるとしたら、こういうことです。
「学生をどう使えるか」を考えてほしいということです。言葉は雑かもしれませんが、これが本質だと思っています。
学生のためにわざわざ何かをするのではなく、自分が普段やっている臨床を経験させること。それだけで、学生にとって十分な学びになります。
とにかくやらせること。そして、それが自分の臨床の「プラスアルファ」にならないように設計すること——それができると、実習指導のしんどさはかなり変わります。

「教えてあげなきゃ」という気持ちを手放すだけで、こんなに楽になるとは思わなかった。
- 最初の数年、実習指導は「身を削るもの」だった。職場全体にも押し付け合いの空気があった
- クリニカルクラークシップの導入を最初は猛反発した
- 実際にやってみると「自分の臨床に入らせる」スタイルで負担が激減し、むしろ臨床の質が上がった
- 「学生をどう使えるか」という発想に変わったことで、指導への向き合い方が変わった
- やらせること・自分のプラスアルファにしないことが、継続できる指導スタイルのコツ
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