PT×キャリア

大学病院PTが非常勤講師になった話——声がかかる条件と、教えてみてわかったこと

yutorizeropapa
この記事でわかること
  • 副業禁止の大学病院でも「非常勤講師」が認められた理由
  • 声をかけてもらえたきっかけと、選ばれた条件
  • 実際に教えてみてわかった臨床との違い・得られたもの
  • 上司への相談の仕方と、職場への配慮
  • 非常勤講師に向いているPTの特徴

「副業したいけど、大学病院だから禁止されている」——そう思っているPTは多いのではないでしょうか。

私が勤める大学病院も、就業規則では副業は認められていません。しかし、大学の非常勤講師としての依頼を受け、今も授業に関わっています。

「これは副業と言えるのか」という問いもあります。ただ、正式な依頼を受け、出張として関わっている以上、立派な仕事のひとつだと思っています。

この記事では、なぜ声がかかったのか、実際に教えてみて何を感じたのか、そして上司への相談をどう進めたかを書きます。収入を増やしたい・臨床以外でも力を発揮したいと考えているPTに読んでもらえたら嬉しいです。

副業禁止でも、「非常勤講師」は別の話だった

大学病院の多くは、副業・兼業を原則禁止としています。医療安全やコンプライアンスの観点から、職員が勝手に外部で収入を得ることを制限しているのです。

ただ、「大学の非常勤講師」は少し話が違いました。大学から正式に依頼が来て、勤務先の承認を得たうえで出張として関わる——そういう形が取れるのです。

私の場合も、勤め先の大学病院に「依頼が来た」と報告し、承認を得た上で動いています。グレーゾーンではなく、正式な手続きを経た関わりです。

岩さん
岩さん

副業と聞くとこっそりやるイメージがあるけど、非常勤講師は「公式に頼まれて、公式に承認を得てやる」もの。後ろめたさが全然ない。

声がかかったのは、系列病院ならではのネットワークから

依頼が来たのは、ちょうど系列の別の病院へ異動した後のことでした。

大学病院で働いていると、附属の教育機関の教員と顔を合わせる機会が自然と生まれます。私も長年の中でそういった接点があり、異動先でもつながりが続いていました。

そのタイミングで、大学の教員から声をかけてもらいました。「臨床で働いているPTに授業に入ってもらいたい」という意図があったそうです。学生が実習前に少しでも現場のイメージを持てるようにしたい——それが学校側の狙いでした。

選ばれた理由として挙げてもらったのは、大学院を修了していること、2つの病院での臨床経験があることでした。

「なんとなく知っている人」ではなく、「実績がある人」として認識されていたことが、声がかかるきっかけになりました。

実際に教えた授業の内容

脳卒中の実技授業が中心でした。寝返り・起き上がり・起立・移乗・歩行など、実際の介助方法を学生に指導しました。

その後、脊髄障害の評価・移乗、症例検討の授業にも参加するようになりました。さらに、職業倫理・ヒヤリハット・リスク管理の授業も担当するようになり、少しずつ関わる範囲が広がっていきました。

脳卒中以外の授業については、他の教員に自分から相談し、「やらせてほしい」とお願いして担当が増えていきました。

教えてみてわかったこと——臨床とは「全然違う」

感覚を言葉にする難しさ

臨床で後輩に教えるのと、学生に教えるのは、まったく別の難しさがありました。

後輩への指導は、ある程度の共通言語があります。実際の患者さんを前にしながら、「ここを支えて」「こういう状態のときはこうする」と伝えられます。

しかし学生は、実習前でまだ患者さんに触れた経験がほとんどありません。臨床場面でやっていると「感覚」でわかることが、言葉にしないと伝わらない。「どうやって言葉にするか」を常に考えながら授業に臨むようになりました。

学生は素直に聞いてくれるからこそ、適当には答えられません。一言一言が間に受けられる——そのプレッシャーが、自分の言語化能力を鍛えてくれました。

臨床指導が変わった

意外な収穫でした。「学校ではこうやって習ったよね。この場合はどうする?」という問いかけができるようになったのです。

以前は、後輩への指導で「これ知ってるよね?」という前提で進めることがありました。でも、学校でどう教えているかを知ってからは、授業と実習をリンクした指導ができるようになりました。

岩さん
岩さん

学校の授業を知ることで、「学生がどこでつまずくか」が見えてきた。臨床指導の質が変わりました。

上司への相談——「現場に迷惑をかけない」が伝わる言い方

依頼が来たとき、まず上司に相談しました。

そのとき「依頼があったのでやります」とだけ伝えるのは違うな、と思いました。上司が気にするのは、非常勤講師をやることで通常業務に影響が出るかどうかです。

そこで伝えたのは、「業務調整・後輩指導・その他の雑務を滞りなく続けられるよう調整します」ということでした。

もうひとつ意識したことがあります。自分が快く承認してもらえることで、次に同じ依頼が来た後輩も動きやすくなる——そう思って、現場への影響を最小限にすることを心がけました。

「私がやりたい」だけでなく、「職場への影響をこう管理する」まで伝えることが、上司の承認を得やすくします。

非常勤講師に向いているPTの特徴

この経験をもとに、向いているのはこんなPTだと思います。

・大学院・学会発表・後輩教育を積極的にやってきた人
・臨床での経験を言語化・実績化できている人
・ネットワーク(大学や教育機関との接点)がある人

コストをとる臨床能力だけでは、なかなか声はかかりません。「この人に頼みたい」と思ってもらえる実績と、それを知っている人のネットワークが必要です。

逆に、自己研鑽が止まっている状態では難しいかもしれません。近年は「適任かどうか」が厳しく見られるようになっており、大学院修了や論文実績は一定の説得力を持ちます。

岩さん
岩さん

「誰かに頼まれる人」になるには、日頃の積み上げが先。急に副業したいと思ってもすぐにはできない。

まとめ
  • 大学病院は副業禁止でも、非常勤講師は正式依頼・承認を経て動ける
  • 声がかかったのは、系列病院ならではのネットワークと積み上げた実績があったから
  • 教えることで感覚の言語化能力が上がり、臨床指導も変わった
  • 上司への相談は「やりたい」ではなく「現場への影響をこう管理する」がポイント
  • 向いているのは、実績を言語化・外部に示せているPT
ABOUT ME
岩さん
岩さん
大学病院17年・2児パパの現役PT
大学病院で17年働く現役PT。修士・認定PT取得、育休2回取得の2児パパ。 転職はしていないけど、「このままでいいのか」とずっと考えている。転職サービスで外の市場を調べ、自分の立ち位置を把握した上で今の職場にいる。キャリア・転職・育児・お金について、答えじゃなくてリアルを書いています。
記事URLをコピーしました