理学療法士のキャリアの壁――5年目・10年目・15年目に感じたこと、正直に書く
理学療法士のキャリアには、節目ごとに「壁」があります。
1年目の壁、5年目の壁、10年目の壁。それぞれ全然違う種類の壁で、乗り越え方も違います。大学病院に17年勤めた私が、各時期に何を感じ、どう動いたかを正直に書きます。
「今の自分はどの壁にいるのか」を確認する記事として読んでもらえれば嬉しいです。
1〜3年目:とにかく調べて、相談して、覚える時期
1年目から3年目は、毎日が学びのフェーズでした。
疾患について調べる、リスク管理を調べる、介入方法を調べる。調べることが尽きない。わからないことがわかるたびに先輩に相談して、少しずつ自分の中に積み上がっていく感覚がありました。RPGで言えば、毎日経験値が溜まってレベルアップしている感じです。
きつかったけど、成長している実感があった。だから続けられた時期でもあります。
5年目の壁:「なんとなくわかった気」になっていた自分に気づく
5年目頃から、仕事に対する必死さが変わってきました。
中堅に差し掛かり、後輩や学生を指導する立場になる。調べる・相談するという機会が自然と減り、「わかっている人」として扱われるようになる。ある種の万能感がありました。
でも、その万能感が崩れる瞬間がありました。後輩や学生に説明しようとしたとき、うまく言葉にできない。「なぜそうなるのか」を聞かれると、答えられない。
あれだけ調べて、相談して、経験してきたのに。気づいたんです。自分は理解していたのではなく、「なんとなく雰囲気でやっていた」だけだったんじゃないか、と。
理学療法士として働き続けることはできます。でも、このままでいいのか。その問いが頭から離れなくなりました。その答えとして選んだのが、大学院進学でした。臨床の疑問を自分で解決できる力をつけたかった。詳しくはこちらの記事に書いています。
10年目の壁:ずっと「鎖国」していたことに気づく
10年目前後で感じたのは、「上が詰まっている」という閉塞感でした。
私が入職した頃と比べると、同じ職場に長く働くPTが増えていました。上の先輩がやめない。役職が回ってこない。経験年数で先輩を超えることは事実上難しい。このまま同じ場所にいて、どうなるのか。
そのとき思ったのが、「自分はずっと鎖国していたんじゃないか」ということでした。
海外旅行に行ったことがない人は、日本の良さも課題も実感しにくい。日本にずっといれば居心地はいいけれど、外の世界と比べることができない。私は10年間、同じ職場という「島」の中だけで生きていました。
外に出ることで、自分の実力が本当はどの程度なのかを知りたかった。その気持ちで、系列病院への異動を決めました。結果は、ボコボコにされました。それが一番の収穫でした。詳しくはこちらの記事に書いています。
10年前後は、役職がない分だけ「自分の臨床力を試せる」タイミングでもあります。外の世界が気になり始めたら、それは動くサインかもしれません。
15年目の壁:家庭とキャリア、どちらを優先するか
15年目は、今までと種類の違う壁でした。仕事だけの話ではなくなってきた。
育休を取れば、研究活動はできなくなる。キャリア形成が遠のく可能性がある。一方で、家庭を優先したい気持ちも強くなっていた。その葛藤の末に、育休取得を選びました。
同じ時期に、異動から元の職場に戻ってきたことで、閉塞感も再燃しました。「この職場で、このまま続けていていいのか」という問いが、転職という選択肢を本気で考えるきっかけになりました。
15年目は、純粋なキャリアの問題ではなく「何を大切にするか」という問いが迫ってくる時期だと思っています。詳しくはこちらの記事に書いています。
各時期の壁と、私がとった行動
| 時期 | 壁の正体 | とった行動 |
|---|---|---|
| 1〜3年目 | 知識・経験の不足 | とにかく調べる・相談する |
| 5年目 | 「わかった気」になっていた | 大学院進学 |
| 10年目 | 閉塞感・自分の実力への疑問 | 系列病院への異動 |
| 15年目 | 家庭とキャリアの両立 | 育休取得・転職を本気で検討 |
悩んだ結果、「何もしない」を選ばなかった
振り返ると、各時期の壁でひとつ共通していることがあります。悩んだとき、何もしないという選択をしなかった、ということです。
大学院に行くことも、異動することも、育休を取ることも、全部「動く」という選択でした。正解だったかどうかは今でもわかりません。でも、動いたことで見えたものが必ずあった。
今、壁を感じているPTに伝えたいのはひとつです。何が一番大切かを考えながら、動いてみてください。悩んでいる時間は無駄ではないけれど、動かない時間が一番もったいない。
「このままでいいのか」と感じ始めたら、まず外を知ることから始めてみるのもひとつの方法です。転職するかどうかは、その後に決めればいい。こちらの記事に、私が育休中に転職サービスを使ってみた話を書いています。
👉 実際に転職サービス3つを使い比べた話はこちらの比較記事にまとめています。
👉 大学病院PTのリアルな年収についてはこちらの記事に詳しく書きました。
