大学病院に17年いるPTが「このままでいいのか」と思った理由を正直に書く
- 17年のキャリアで「このままでいいのか」が出てきた3つのタイミング
- 「このままでいいのか」の正体(不満ではなく、選んでいないことへの不安)
- それでも今の職場にいる理由と、育休中に外を見て気づいたこと
「このままでいいのか」という感覚は、一度だけやってくるものではありませんでした。
大学病院に17年。管理職をやって、修士も取って、認定資格も持っている。キャリアとしては、それなりに積み上げてきたつもりです。仕事に不満があるわけでもない。職場の人間関係も、悪くない。
それでも、節目のたびに思うんです。「このままでいいのか」と。
5年目のとき――「考えていない自分」に気づいた
最初に「このままでいいのか」と強く感じたのは、5年目ごろでした。
仕事にある程度慣れて、楽しくなってきた頃でした。急性期病院なので、患者さんはナチュラルに回復していく。その回復を「自分の手柄」のように言うことは、正直できました。でも、症例発表や研究に向き合うにつれて、気づいたんです。いかに自分が「考えずに」仕事をしていたかに。
問題解決能力が低い。論理的思考ができていない。臨床はこなせていても、「なぜ良くなったのか」を説明できない。それが怖かった。
そこで大学院への進学を決めました。臨床の疑問を自分で解決できる力をつけたかった。そのあたりの話はこちらの記事に詳しく書いています。

5年目、「なんとなくうまくいっている」自分に気づきました。考えずに仕事できてしまうことが、一番怖かった。それが大学院に行くきっかけになりました。
10年目のとき――先輩の姿が「自分の未来」に見えた
次に「このままでいいのか」と思ったのは、10年目で異動を決意したときです。
同じ職場に長くいると、ぬるま湯に浸かった状態になります。それ自体は居心地がいい。でも、先輩たちの姿を見て、「このまま同じ場所にいると、あの人たちと同じになる」という感覚が拭えなくなりました。
若いうちにリスクを取って動かないと、後で動けなくなる。その思いで、系列の別病院への異動を選びました。外に出て気づいたのは、自分がいかに狭い領域でやっていたか、ということでした。異動の経緯はこちらの記事に詳しく書いています。

先輩の姿が「10年後の自分」に見えた瞬間がありました。それが嫌だったわけじゃない。でも「そこに向かって意識的に動いているか?」と問われると、答えられなかった。
同年代のPTに言われた言葉が、ずっと引っかかっている
もうひとつ、強く印象に残っていることがあります。
同年代のPTと話していたとき、こう言われました。「もう勉強するのが嫌だから、同じ領域でやっていきたい」と。
正直、「え?」と思いました。私は大学院に行き、認定資格を取り、異動して、常に何か新しいことに動いてきた。それが当たり前だと思っていた。でも、そういう考えの人が、同じ職場にいる。
家庭の事情があるのはわかります。時間や体力に限りがあることも。でも、医療は日に日に進歩している。学び続けなければいけない職業で、「新しいことを覚えたくないから同じ場所にいる」は、成長を諦めることだと思ってしまう。
そういう考えの人が増えていくと、「新しいことをやりたい」と言っても「今まで通りにしましょう」と返ってくる。その空気の中で、自分のモチベーションを保ち続けられるか。それが今、一番「このままでいいのか」と感じる部分かもしれません。
- 「同じ領域でやっていきたい」という考えに、素直に共感できなかった
- 医療は進歩し続ける。学び続けない選択は成長を諦めることでもある
- 変化を嫌う空気の中で、自分のモチベーションを保てるか
子供2人と妻を養う現実――「やりがい」だけでは続かない
もうひとつ、正直に書きます。お金の問題です。
子供が2人、妻が育休中。世帯収入のほぼすべてを自分の給与が担っている期間があります。「PTの給与は低い」とよく言われますが、大学病院は手当や福利厚生が手厚く、外から見れば決して低くない水準でした。でも、住宅ローンを抱え、2人の子供を育て、将来の教育費も考えると、「これで足りるのか」という不安は常にあります。
やりがいだけで17年続けてきた部分もあります。でも、「やりがい」だけで家族を養い続けられるかというと、それは別の話です。この問題意識が、今後転職を考えるかもしれない、最も大きな理由になっています。
- 子供2人・住宅ローン・妻の育休中は実質1馬力
- 大学病院の給与は外から見ると「低くはない」が、将来への不安はある
- 「やりがい」と「家族を養える収入」は、別の問題として考える必要がある
「このままでいいのか」の正体
こうして振り返ると、私が感じてきた「このままでいいのか」は、今の職場への不満ではありませんでした。
正体は2つあると思っています。ひとつは「選んでいないことへの不安」。今の職場にいるのは、ここが最善だと選び直しているからではなく、なんとなく続けているだけではないか、という感覚。もうひとつは「成長できているかへの疑問」。この環境が、今の自分に必要な場所かどうかを、問い続けること。
その2つが、節目のたびに「このままでいいのか」という形で出てくる。そう気づきました。
- ①選んでいないことへの不安:なんとなく続けているだけではないか
- ②成長できているかへの疑問:この環境が今の自分に必要かどうか
- 不満ではなく「意識的に選んでいるか」への問いかけ
それでも今の職場にいる理由――正直に
色々と書きましたが、今の職場にいる理由を正直に言うと、家族のためです。
下の子が生まれたばかりで、育休を取得中。妻の負担を考えると、このタイミングで転職は、家族もろとも過酷な道に突き進むことになる。独り身であれば、もっと早く動いていたかもしれません。でも今は、守るべきものがあります。自分だけの判断ではなく、妻と話し合って決めることだと思っています。
それは弱さではなく、今の自分の優先順位だと思っています。
育休中に、外を見てみた
そのタイミングで、育休中に転職サービスを使ってみました。転職を決めたわけではなく、「外から見た自分の価値を知りたい」という気持ちでした。
使ったのはPTOTSTワーカー・レバウェル・ジョブソエルの3つです。担当者から言われたのは「今の年収はかなり高い水準」ということ。転職すると一時的に年収が下がる可能性が高いとも。これは知らなかった現実でした。
3つのサービスを使い比べた話はこちらの比較記事にまとめています。
今も、答えは出ていない
- 5年目・10年目・今と、節目ごとに「このままでいいのか」が来た
- 正体は「選んでいないことへの不安」と「成長できているかへの疑問」
- 今の職場にいる理由は家族優先。それが今の自分の選択
- 知らないまま迷うより、外を知った上で迷う方がいい
「このままでいいのか」に、明快な答えはまだ出ていません。転職するかもしれないし、しないかもしれない。
ただ、「知らないまま迷っている」よりは、「知った上で迷っている」方がいい。外を見て、自分の価値を確かめて、それでも今の場所を選ぶ。その積み重ねが、「なんとなくいる」ではなく「選んでいる」になると思っています。
同じように「このままでいいのか」と思っている30〜40代のPTに、この記事が少し届けばと思います。
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